平成22年度厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業『緩和医療に携わる医療従事者の育成に関する研究』班では、緩和ケアにおけるアドバンスケアプランニングの実際的な教育方法を開発するにあたり、ホスピス・緩和ケア病棟におけるアドバンスケアプランニング(ホスピス・緩和ケア病棟への入院を誰がどのように決めたか、ホスピス緩和ケア病棟入院時及び入院後の生命維持のための治療や処置に対する意向の表明、代理意思決定者の表明など)の実態及びアドバンスケアプランニングに関する医師の行動と態度を明らかにするために本調査を企画し12月10日より実施しております。
具体的には、全国のホスピス・緩和ケア病棟に入院された患者さんのうち平成22年11月30日までに死亡退院された患者さんのケース3例についてホスピス・緩和ケア病棟への入院を誰がどのように決めたか、ホスピス・緩和ケア病棟入院時及び入院後のACPおよびアドバンスディレクティブ(以下、AD※2)について、入院時のカルテをもとに担当医に対してアンケート調査するとともに、緩和ケア病棟で診療を行っている医師のACPおよびADに対する行動と態度を調査いたします。
この調査は匿名で行い、回収後は調査事務局で集計され、調査結果は統計的な処理をして公表されるため、患者さん、施設、および回答した医師個人の情報が公開されることは一切ありません。
本調査に関係することが予想されるご遺族の方で、調査に協力したくないとお考えの方はご遠慮なく下記問い合わせ先までご一報ください。
※1 アドバンスケアプランニング(Advance Care Planning : 以下ACPと略)とは?
ACPの定義に定まったものはないが、本調査では『将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・療養について患者・家族とあらかじめ話し合うプロセス』とする。ACPは、現在の気がかり、患者の価値観や目標、現在の病状や今後の見通し、治療や療養に関する選択肢を話しあうことで構成され、患者・家族の価値観を引き出し、治療・ケアの目標を共有することに主眼が置かれる。その内容には、いわゆるアドバンスディレクティブ(Advance
Directives: 以下ADと略※2)が含まれる。
※2 アドバンスディレクティブ(Advance Directives: 以下ADと略)とは?
本調査でADとは『自分自身の臨死期の対応と死後の対応について事前に他者に伝えておくこと』とする。ADは、書面もしくは口頭でなされ、その内容には自分が意思決定できなくなったときに備えた心肺蘇生術、経管栄養、輸液、抗菌薬など生命維持のための治療や処置に対する意向の表明および医療に関する代理意思決定者は誰か、希望する療養環境、希望する周囲からのサポート、死後の家族への要望、などが含まれる。